くらしのワンポイント(2022年5月)
電動キックボードでの公道走行に注意
キックボード(車輪付きの板)に電動式のモーター(原動機)を取り付けて、立った状態で運転する、いわゆる「電動キックボード」が販売されています。電動キックボードの中には公道を走行できるものもあり、新たなモビリティとして注目されています。通常のキックボードは遊具と位置付けられ、車道・歩道問わず交通の頻繁な場所での使用が禁止されている一方、電動キックボードは電動式の原動機(モーター)により走行し、原動機の定格出力によって区分され0.6kW以下であれば、道路運送車両法上は第一種原動機付自転車に該当し、歩道で走行することは禁止されています。公道を走行する際は、道路運送車両の保安基準に適合した制動装置、前照灯、後写鏡等の構造及び装置を備えていることが必要です。
さらに、ナンバープレート(標識番号標)の表示、自動車損害賠償責任保険(共済)への加入、運転免許の保有とヘルメットの着用も必要です。こうした中、道路運送車両の保安基準に適合しないもので走行中の交通事故や道路交通法違反についての報道が増えており、消費者の中には法的な位置付けや乗車方法などを正しく理解していない人がいるものと危惧されます。
PIO-NET(国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのこと)には2016年度以降、電動キックボードに関する相談が、124件(購入に関する内容を含む)寄せられ、このうち少なくとも7件は危害を伴った内容で、9件は公道走行可否に関するものでした。(2022年1月末までの登録分)
危害を伴った事例
【事例1】
電動キックボードの無料体験をしないかと声を掛けられた。操作方法を簡単に説明され、公道に出た。急な坂道を上っていたら、車が出てきたので急ブレーキをかけたところ、弾き出されて転倒し、足にすり傷を負った。
【事例2】
電動キックボードで走行中、突然モーターがロックしたような衝撃があり、はずみで転倒し左足の脛と右膝の内側が腫れ、右肘にすり傷ができた。
公道走行可否に関する事例
【事例3】
電動キックボードの購入を検討している。公道走行可否について販売店により書いてあることが違う。検討品が走行可能か知りたい。
【事例4】
公道を走れる電動キックボードのネット広告を見て警察に相談。原動機付自転車に該当しナンバープレートの取得等が必要と言われた。虚偽の表示に納得できない。
【事例5】
購入前に販売事業者から、運転免許の必要はなく公道で走行できると説明を受け、息子が電動キックボードを購入した。警察に問い合わせたところ、公道を走行することは出来ないと言われた。返品を申し出たが販売事業者には「公道を無免許で走行できる。一度購入した商品を返品することは出来ない」と言われた。
【事例6】
公道走行可能と表示された電動キックボードを購入。走行不可と知り返品希望。
消費者へのアドバイス
○公道を走行する電動キックボード(定格出力0.6kW以下)は、第一種原動機付自転車に該当します。道路交通法の区分に応じた運転免許の保有とヘルメットの着用、道路運送車両法の区分に応じた保安基準に適合した構造及び保安装置、交付されたナンバープレートの表示、自動車損害賠償責任保険(共済)への加入等が必要となるので、必ず実施しましょう。
○公道を走行する目的で電動キックボードを購入する際には、道路運送車両の保安基準に適合した装置が装備されているか、購入した状態で公道を走行することができるかを必ず確認しましょう。
○方向指示器がない電動キックボード(最高速度20km/h未満)は右左折時に手の動作による合図が必要となります。交通量の多い交差点での右折時は降車して歩道を押して通行するなど、安全を優先しましょう。
○電動キックボードは、車両や車輪がコンパクトで、利便性が高い反面、凹凸や滑りやすい路面では不安定になる場合があります。走行には十分に注意しましょう。
○夜間に走行する際は、できるだけ目立つ服装にしましょう。
○第一種原動機付自転車に区分されてヘルメットの着用が義務付けられている一般の電動キックボード(定格出力0.6kW以下)と、産業競争力強化法に基づく新事業活動計画における電動キックボードでは法律上の区分が異なり、適用規則が異なります。正しい情報をよく理解し、法律に則った方法で使用しましょう。
トラブルの相談
市消費生活センター 電話:53-0505
毎週月曜から金曜日 午前9時から正午、午後1時から午後4時30分
(祝休日および年末年始を除く)
消費者ホットライン
電話:188(イヤヤ!)
このページに関するお問い合わせ
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