施政方針
令和4年市議会3月定例会における施政方針全文
本日ここに、令和4年江南市議会3月定例会が開会されるに当たり、私の施政に対する方針を申し述べまして、市議会議員各位並びに市民の皆様の深いご理解とご協力をお願い申し上げるものでございます。
現在、新型コロナウイルス感染症は、新たな変異株の出現もあり、依然として収束の兆しが見えない状況が続いております。市民の皆様には、感染防止のため、3密の回避やマスクの着用、手指消毒などの徹底をお願いするとともに、新しい生活様式の実践にご協力いただき、心から感謝申し上げます。
このような状況の中、行政といたしましても、市民の皆様の生命と健康を守り、地域経済や社会活動を停滞させないよう、様々な支援策を展開してまいりました。特に感染拡大防止と重症化予防の観点から、新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種につきましては、医療関係者の皆様のご協力をいただきながら、安定した実施体制を構築し、市民の皆様が安心して接種していただけるよう、全力で対応してまいります。
さて、我が国におきましては、人口減少、少子高齢化、産業空洞化など、地域が抱える様々な課題を、デジタルの力を活用することによって解決していくとした、「デジタル田園都市国家構想」の実現に向けて動き出しています。
本市におきましても、全国的に進められている自治体DXに対応し、自治体情報システムの標準化・共通化や、行政手続きのオンライン化を進めてまいります。DXいわゆるデジタル・トランスフォーメーションは、単にデジタル化するだけではなく、ICTを活用することにより、抜本的な業務改革を行い、新たな価値を創造する「イノベーション」を創出するものでございます。行政におきましても、地域の課題を的確に捉え、様々な分野において、柔軟な発想で創意工夫を凝らし、新たな技術を活用することで、既存の行政サービスの方法自体を見直し、市民の皆様の利便性を高めてまいります。
次に、現在、取り組んでおります大型事業としまして、布袋駅周辺整備につきましては、鉄道高架化事業の完了に伴い、周辺道路や駅前広場などの基盤整備を集中的に行ってまいります。
また、本市初の官民複合施設となる布袋駅東複合公共施設は、令和5年4月の供用開始に向け、建設工事と合わせまして、複合公共施設に移転する、図書館、保健センター、その他の子育て支援施設などの開館準備を進めてまいります。
新図書館につきましては、新しい図書館用システムの導入や、図書約3万冊を購入し、令和3年度の購入分と合わせまして、開館に向け約5万冊の蔵書の充実を図ってまいります。
保健センター、子育て支援センター、ファミリー・サポート・センターなどの子育て支援施設につきましては、子育て支援のワンストップ拠点として施設を集約し、相談体制をより充実させるとともに、妊娠準備期から子育て期にわたる切れ目のない包括的な支援を行えるよう、子育て世代包括支援センターの機能強化も図ってまいります。
他にも、市民の皆様が様々な活動を行い、情報交換や交流ができる地域交流拠点としての役割を担う(仮称)交流スペースの開設準備を進めてまいります。
また、隣接する民間施設に整備が予定されている、民設民営の認可保育所の施設整備費に対し補助を行い、子育て支援環境の一層の充実を図るなど、官民複合施設として、公共と民間が互いの長所を引き出し合い、相乗効果を高め、江南市の南玄関口にふさわしい賑わいと交流を創出することによって、市民の皆様の利便性向上を図ってまいります。
企業誘致につきましては、雇用の安定と創出及び歳入増加を図るため、本市への企業の誘致活動を引き続き推進するとともに、新工業用地を整備するための基金を新たに設置し、将来的な財政負担の軽減に向けて備えをしてまいります。
新ごみ処理施設建設事業につきましては、令和10年度の供用開始に向けて、より良い施設となりますよう2市2町で協議し、尾張北部環境組合が主体となって事業を進めてまいります。また、基金の積み立てを継続し、財政負担の平準化を図ってまいります。
それでは、令和4年度の予算編成の基本的な方針について、ご説明申し上げます。
我が国の経済は、内閣府による1月の月例経済報告では、景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、このところ持ち直しの動きがみられると報告されております。
一方、本市の財政は、市の一般財源の根幹をなす市税は、全体として令和元年度の当初予算の水準まで回復が見込まれるものの、少子高齢化への対応や多額の財政負担が必要となる大型事業を抱えていることから、健全な財政運営を継続するために、「選択と集中」により経営資源を確保しながら、市民ニーズに沿った事業へと見直しを行い、計画的で効率的な財政運営を進めていく必要がございます。
こうした状況を踏まえて、第6次江南市総合計画に基づき編成しました令和4年度の当初予算は、一般会計で320億7,078万1,000円、令和3年度に比べて7.3%の増でございます。特別会計は4会計で、その総額は191億6,737万4,000円、令和3年度に比べて4.4%の増でございます。
また、水道事業会計は26億1,183万円、令和3年度に比べて10.6%の増、下水道事業会計は24億8,376万6,000円、令和3年度に比べて3.8%の増でございます。
全会計あわせますと、563億3,375万1,000円で、令和3年度に比べて6.3%の増でございます。
こうした状況の中、令和4年度における主な施策につきまして、第6次江南市総合計画に掲げます5つの分野別に方針を述べさせていただきます。
まちづくり分野
第1は、まちづくり分野でございます。
はじめに、『限られた資源の活用』 についてでございます。
「ごみの適正な収集、運搬、処分」としましては、高齢者などのごみ出し困難世帯を対象に、6月から戸別収集を実施してまいります。
次に、『にぎわいあるまちづくりの推進』についてでございます。
「秩序ある都市計画の推進」としましては、江南駅西における交通混雑の緩和を図り、円滑で安全な交通環境を確保するため、都市計画道路江南通線の整備を引き続き進めてまいります。
次に、『生活にゆとりとうるおいを生む公園緑地推進』についてでございます。
「都市公園等の整備推進」としましては、久昌寺公園を拡張整備するため、公園用地の取得を進めてまいります。また、江南布袋南部土地区画整理事業で計画しました、(仮称)1号公園の整備に向けた実施設計を進めてまいります。
次に、『生活を支える道路の整備と維持管理』についてでございます。
「道路の整備及び維持管理」としましては、道路施設の健全性を確認するため定期点検を実施し、必要に応じて修繕を行うことにより、道路施設の長寿命化を進めてまいります。
次に、『安心して住み続けられる住環境の確保』についてでございます。
「適切な開発許可と建築指導、木造住宅耐震化の促進及び空家等対策の推進」としましては、倒壊などのおそれのある危険な空き家の解体工事費に対する補助を行い、住環境の改善を推進してまいります。
次に、『浸水被害のないまちづくりの推進』についてでございます。
「雨水流出抑制機能の強化と河川・排水路の改修整備」としましては、雨水流出抑制機能の強化を目的とし、以前から計画しておりました県立古知野高等学校に加え、古知野西小学校、古知野南小学校への雨水貯留施設の整備に向け、準備を進めるとともに、県に対しましても、河川や遊水地の早期整備を要望するなど、さらなる治水安全度の向上に取り組んでまいります。
次に、『公共下水道の普及促進』についてでございます。
「下水道事業の健全な経営」としましては、水道事業及び下水道事業に設置しておりました審議会を、上下水道事業経営審議会に統合し、適切かつ効率的な経営を図ってまいります。
「下水道管きょの建設・維持管理及び普及促進」としましては、市街化区域における下水道の普及促進のため、効率的な整備を進めるとともに、供用開始後は早期の接続を促すため、未接続宅の訪問及び啓発活動を継続して実施してまいります。
次に、『安全な水の安定供給』についてでございます。
「水道事業の健全な経営」としましては、消費税の複数税率に対応した仕入税額控除の方式である適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度の導入に向け、システムの改修を行ってまいります。
「水道施設の整備と水道水の安定供給」としましては、地震被害を最小限に抑え、水道水の安定供給を持続するため、基幹管路等の耐震化を計画的に進めるとともに、下般若配水場、後飛保配水場及び取水井の遠方監視装置の更新や、下般若配水場の配水ポンプの増設を進めてまいります。
ひとづくり分野
第2は、ひとづくり分野でございます。
はじめに、『地域に開かれた快適で安全な学校づくりの推進』についてでございます。
「学校教育環境の充実」としましては、公私立学校間の経済的負担の格差の是正を図るため、私立高等学校等に通う生徒の保護者に対しまして、新たに助成金を交付してまいります。
「学校給食の提供」としましては、施設・設備の老朽化が進む学校給食センターについて、食物アレルギーを持つ児童・生徒への対応や衛生管理の徹底を図るため、南部・北部学校給食センターの2施設を統合し、すいとぴあ江南の西側に、新たな学校給食センターの整備を進めてまいります。
「学校の管理、運営の充実」としましては、国のGIGAスクール構想に基づき、教育用ICT機器を活用した情報教育を推進してまいります。また、学校施設の予防保全に努めるとともに、学校渡り廊下の耐震補強工事の実施及び学校体育館の照明器具のLED化を図ってまいります。
次に、『生きがいをもって暮らせる生涯学習環境の整備』についてでございます。
「スポーツレクリエーションの充実」としましては、市民の健康増進や体力向上、仲間づくりの機会を提供するため、「軽スポーツフェスティバル」を開催してまいります。
次に、『地域が支える子育て支援の推進』についてでございます。
「遊びを通じた楽しく豊かな子育ての実現」としましては、共働き家庭の増加によるニーズの高まりから、学童保育について、令和4年度から小学校6年生まで利用対象学年を拡大し、実施してまいります。
また、待機児童を解消するため、令和4年度から開館いたします古北にじいろ会館において、古知野北部地区学習等供用施設から学童保育所を移転し、定員を増やして実施するとともに、6月からは、新たに放課後子ども教室も開室してまいります。
しごとづくり分野
第3は、しごとづくり分野でございます。
はじめに、『地域の雇用を支える産業の育成支援』についてでございます。
「商工業の活性化と企業誘致の推進」としましては、地域経済の重要な役割を担う中小企業の振興を図るため、江南市中小企業振興基本条例を踏まえ、新たな支援策を設け、中小企業を支援してまいります。
「観光事業の推進」としましては、歴史や自然、産業を巡る市内観光ルートを設定した江南散策ガイドや本市の観光スポット等を紹介する江南観光ガイドマップを通じて、本市の魅力を発信するとともに、地域ブランド確立のため、新たな観光資源の発掘に努めてまいります。
また、市観光協会に対する支援を行うことにより、交流人口の増加を図り、地域の活性化に努めてまいります。
次に、『農業の安定経営と農業施設管理』についてでございます。
「農業の安定経営のための支援と農業用施設の適正管理」としましては、子どもたちを対象に野菜の収穫体験を開催し、市民の皆様の食への関心や安全性などの意識の向上に取り組んでまいります。
あわせて、地域ブランド確立のため、地元農産物を使用した商品開発など、PR活動に取り組んでまいります。
また、農業用水を農地へ供給する江南市土地改良区の江南揚水機場や昭和用排水土地改良区の用水路、丹羽用水土地改良区の排水路などの老朽化が進んでいる農業水利施設の改修を行う県営事業に対して、負担金を支出し、安定的な農産物の生産や農業経営の実現を図ってまいります。
さらに、暗きょ化された宮田導水路上部の有効活用として、県営水環境整備事業へ引き続き負担金を支出し、市民の皆様のふれあいの場として整備を進めてまいります。
ちいきづくり分野
第4は、ちいきづくり分野でございます。
はじめに、『地域に住み続けられる支援の推進』についてでございます。
「介護保険サービスの提供、介護保険事業の適正運営」としましては、介護保険サービスのさらなる充実を図るため、第8期江南市介護保険事業計画に基づき公募し、選考しました地域密着型サービス事業者が整備するグループホーム等施設に対し、補助を実施してまいります。
次に、『障害者が生き生きと暮らせる支援の推進』についてでございます。
「障害者の日常生活及び社会生活への支援」としましては、江南市心身障害者扶助料の支給制限を受けた在宅の重度障害者を支援するため、江南市特別障害者手当を新たに支給してまいります。
次に、『誰もが活躍できる健康な生活の確保』についてでございます。
「健康の増進・保持」としましては、市の健康増進計画であります第2次健康日本21こうなん計画が令和5年度に最終年度を迎えますことから、計画の最終評価及び次期計画策定に向け、市民意向調査等を実施してまいります。
「母子保健」としましては、産後ケア事業のサービス種類の拡大として「宿泊型」に「居宅訪問型」を加えるとともに、妊婦・産婦・乳児健康診査に新生児聴覚検査を追加し、出産後の母子への支援の充実を図ってまいります。
次に、『保険年金制度の健全な運営』 についてでございます。
「医療保険の健全運営」としましては、令和4年10月から、子ども医療費の助成対象を高校生世代まで拡大し、子育て世帯の経済的負担を軽減するとともに、子どもが安心して医療を受けることができる環境を整えてまいります。
次に、『安心・安全な地域づくりの推進』についてでございます。
「災害対策活動の充実・強化、有事対策の確立」としましては、応急的な避難所生活を支援するため、女性や高齢者、乳幼児用の衛生用品等の備蓄の充実を図るとともに、防災協定の締結や防災ハンドブックを通じ、災害時の支援体制等の充実及び市民の防災意識の向上を図ってまいります。
次に、『市民の安心を守る消防・救急体制の充実』についてでございます。
「消防体制の充実」としましては、指導調査車1台と資機材搬送車1台の更新を行ってまいります。
また、女性のさらなる活躍推進のため、女性消防職員の職場環境を整備するとともに、女性消防団員の装備や活動支援等の充実に取り組み、地域防災力の向上を図ってまいります。
さらに、現場活動時の感染防止対策として、消防職員に対して、感染症に関する血中抗体検査及びワクチン接種を実施し、現場活動における安全・安心を確保してまいります。
加えて、震災時において消防水利を確保するため、経年した防火水槽の延命と簡易耐震化が可能な特殊シートを設置し、早期の震災対応実現に努めてまいります。
行政分野
第5は、行政分野でございます。
はじめに、『地域協働の推進』についてでございます。
「地域の魅力の発掘・発信」としましては、広報こうなんやホームページ、SNS等、様々な情報媒体を活用して、本市の魅力を市内外に広く発信するなど、誰もが見やすく、分かりやすい行政情報の発信に努めてまいります。
次に、『計画的な行政経営の推進』についてでございます。
「効率的・計画的な行政経営の推進」としましては、紙媒体の帳票を文字データへ変換処理するAI-OCRの活用を図るとともに、県内全市町村が参加する「あいちAI・ロボティクス連携共同研究会」において、RPAの活用方法等について共同で研究を進めるなど、業務の効率化を推進してまいります。
次に、『公平かつ適正な課税・収納』についてでございます。
「公平かつ適正な課税」としましては、航空写真撮影を3市2町の共同で実施することにより、業務の効率化や、事務経費の削減を図るとともに、固定資産税の適正な課税に努めてまいります。
次に、『適正かつ効率的な事務による開かれた行政』についてでございます。
「資産の適正な管理運用」としましては、市の歳入事務処理におきまして、口座振替データの通信方式が変更となることにより、総合収納システムの改修を行ってまいります。
以上、私の施政に対する所信を述べさせていただきました。
新型コロナウイルス感染症が社会に与えている影響は、依然として大きく、人々の行動や価値観も変化してきていることを実感しています。
本市におきましても、社会情勢を的確に捉え、柔軟に対応していく必要があると考えております。明るいニュースが少ない中ではありますが、老朽化が進む公共施設の統廃合を図ることにより、古北にじいろ会館や布袋駅東複合公共施設が、新たな施設として生まれ変わり、様々な世代の市民の皆様がご利用いただける、地域の賑わいの拠点となることを期待しております。
コロナ禍にあって、人とのつながりがより希薄化していく中でも、既存施設を工夫して活用するとともに、これらの新たな施設が賑わいや交流を生む拠点となることで、市でも取り組みを進めているSDGsの理念にもあります「誰一人取り残さない」社会の実現をめざし、また、第6次江南市総合計画に掲げます、本市のめざす将来像「地域とつくる多様な暮らしを選べる生活都市」を作り上げていくためには、市民の皆様や議員の皆様をはじめ、より多くの方々と相互に連携・協力をし合い、様々な事業に取り組んでいく必要がございます。
そのような環境を整え、より良い方向にまちづくりを進めていくためにも、私自身、リーダーシップを強く発揮し、ペースを上げて江南市政を牽引するため、全力を傾注してまいります。
何とぞ、市議会議員各位並びに市民の皆様の一層のご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げまして、私の施政方針とさせていただきます。
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