愛知県の私学助成の増額と拡充に関する意見書

ページID 1001295  更新日 令和2年1月17日

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平成27年委員会提出意見書案第3号(議決日:平成27年9月28日)

 現在、愛知県においては高校生の3人に1人が私学に学んでおり、私学は、「公教育」の重要な役割を担っている。これに鑑み、愛知県は、学費と教育条件の公私間格差是正と父母負担軽減を目的として、「経常費2分の1助成(愛知方式)」、「授業料助成」など、各種助成措置を講じてきたところである。
 しかし、平成11年度に経常費助成が総額の15%カットされ、授業料助成も対象家庭が縮小された。その後、県の私学関係予算は、国の私学助成増額を土台に、経常費単価では徐々に増額に転じ、昨年度、16年ぶりに平成10年度水準を超え、今年度は国からの財源措置(国基準単価)を6年ぶりに回復した。しかし、少子化による生徒減とも重なって、多くの学園の経営は深刻な事態が続いている。
 また、父母負担の公私格差はいまだ大きく、無償の公立に対して、私学の初年度納付金は約64万円を超え、私学を自発的に選択できる層は、ごく一部に限られている。
 とりわけ、平成22年度の「高校無償化」の際に、公立高校は無償化される一方、私立高校生には就学支援金が支給されたが、愛知県では財政難もあって、県独自の授業料助成が大幅に減額された。特に乙ランク(年収350万円以上840万円以下)の層では、公立が11万8,800円軽減される一方で、私学助成は2万4,000円の加算にとどまり、父母負担の公私格差は大きく広がった。その結果、「教育の機会均等」が著しく損なわれ、私学を選びたくても選ぶことのできない生徒がますますふえた。そのため私立高校は生徒の募集難に苦しみ、私学教育本来のよさを損ないかねない状況に置かれてきた。
 このような状況下で、この2年間、愛知県においては、国の無償化政策見直しに伴う就学支援金の加算分約10億円(約5億円×2年)を活用して、従来の授業料助成制度を復元し、授業料本体については、乙1.ランク(年収610万円以下)までの層はその3分の2を、乙2.ランク(年収840万円以下)までの層は半分が助成されることとなった。この措置は、中所得者層での公私格差を是正し、私学選択の自由を広げる上で、極めて大きな意義がある。また、入学金助成は、年収350万円以下の甲ランクでは2年連続5万円増額された。
 それにもかかわらず、「父母負担の公私格差の是正」は、いまだ抜本的な解決には至っておらず、私学を自由に選択できないなど、「公私両輪体制」にとっていびつな状況が今なお続いている。甲ランクでは、授業料本体と入学金については、無償化されたが、施設設備費などを含めた「月納金」では、いまだ約5万円の公私格差が残っている。しかも、年収350万円以下の低所得者層は、公立の倍以上の比率で、学費の高い私学に来ているという現状がある。一方、入学金助成は、甲ランクは20万円となり、無償化されたが、乙ランクは、乙1.は6万5,000円、乙2.は4万8,000円で据え置かれたままで、15万円前後の負担が残っている。
 私学は、「公教育」の重要な役割を担っており、生徒急増期においては、生徒収容で多大な役割を担うなど、「公私両輪体制」で県下の「公教育」を支えてきた。このような事情から、父母負担と教育条件の公私格差を是正することは、長年にわたる県政の最重点施策でもあった。
 本来、学校は、公立・私立を問わず、誰もが教育の中身によって自由に選択することが望ましく、父母負担と教育条件の公私格差を是正することは、単に私学の問題だけでなく、父母・市民にとって切実な要求である。とりわけ、準義務化された高校教育においては急務である。
 貴職におかれては、父母負担の軽減と教育改革を願う広範な県民の要求に応え、学校と教育を最優先する施策を推進することこそが望まれている。
 よって、当議会は、父母負担軽減に大きな役割を果たしている授業料助成を拡充するとともに、経常費助成についても国から財源措置のある「国基準単価」を土台に、学費と教育条件の「公私格差」を着実に是正できる施策を実施することを要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成27年9月28日

江南市議会

提出先
 愛知県知事

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