子どものスキンケアとスキントラブル

ページID 1004113  更新日 令和6年3月28日

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平成20年6月27日子育て教室の講演より

「みやぐちこどもクリニック 院長 宮口英樹氏」

こどもの皮膚の特徴

 皮膚には外からの刺激から体を守り、また適度な皮膚の潤いを保つ働きがあります(これをバリア機能といいます)。こどもはこのバリア機能が以下の理由により十分発達していないため、容易に湿疹ができやすく、またとびひの原因となる細菌やいぼの原因であるウイルスが皮膚内へ進入しやすくなっています。

特徴その1

大人と比較して皮膚の厚みが薄いため、衣類、爪などで傷つきやすい。
そのためこどもの肌着は綿100%の素材のものが皮膚への刺激が少なくおすすめです。

特徴その2

皮膚表面の脂分が少ないため、冬は乾燥しやすく、夏はあせもがひどくなりやすい。
また湿疹もできやすい。そのためこどもさんでは、入浴後などに保湿剤で不足した脂分を補うことが大切です。

あせもについて

こどもは新陳代謝が激しく、また大人と比較して皮膚の体表面積が小さいため、あせもができやすくなります。
あせもができやすい場合は、

  • 汗を吸いやすい肌着を着せる、
  • 汗をかいたらこまめに着替える、
  • シャワーやお風呂に入って汗を流す、
  • クーラーや扇風機を使用する(ただし冷え過ぎないように注意してください)

などであせもを予防または軽くすることができます。
裸ではかえってあせもができやすいため避けましょう。つなぎの肌着はオムツからの湿気が逃げにくくなります。そのため夏ではつなぎの肌着はあせもができやすく、Tシャツ型の肌着がおすすめです。またこどもにとって汗をかくことは体温調節機能を発達させる重要な働きがあります。時々汗をかくことも大切なことです。

洗剤について

洗剤の種類

無添加洗剤
値段が比較的高く、合成洗剤と比較すると汚れがややおちにくくなりますが肌への刺激が少ない。
合成洗剤
値段が無添加石鹸より安く、汚れがよりおちやすい。肌着に残った成分により肌が弱いこどもさんでは刺激を受けることがあります。
柔軟剤
洗濯後も衣類に残り、汗などにより溶け出し、肌の弱いこどもさんでは湿疹の原因となることがあります。使用して湿疹ができる、または湿疹が悪化する場合などは使用を控えましょう。

紫外線について

乳児期から18歳までに、一生に浴びる紫外線の約50%以上を浴びるといわれています。
紫外線を浴びすぎると、シミ、シワの原因となり、また皮膚の老化を早めるなど皮膚に悪影響を及ぼします。
そのため乳幼児期から以下のような紫外線対策が大切となります。

  1. 外出時は大き目の帽子をかぶる。
  2. 衣類は白っぽい服より、黒っぽい服のほうが紫外線を通しにくくおすすめです。
  3. 肌が露出する部位は、日焼け止めを使用する。
  4. 夏などでひざしが強い正午前後は、外出を控える。

などです。

とびひ(伝染性膿痂疹)について

 湿疹やあせも、虫刺され等で傷がついたところで細菌が増加すると、かゆみを伴う水ぶくれやかさぶたができます。これがとびひです。とびひの部位を爪などで引っかくことで他部位に「飛び火」のように広がっていきます。治療はシャワーなどで皮膚を洗った後に抗生剤入り軟膏の処置、抗生剤の内服を行います。日ごろから皮膚を清潔に保つ、かゆみのある湿疹・あせもなどを治しておく、爪を短く切っておくことなどが予防となります。

水いぼ(伝染性軟属腫)について

 水いぼの中には多くのウイルスが含まれていて、爪で引っかくことなどで他の部位に広がっていきます。皮膚を引っかく機会の多い湿疹があるこどもさんに多く認められます。引っかくことで広がっていきますので、数が少ないうちに病院で専用のピンセットで取り除いてもらいましょう。またとびひと同じように湿疹の治療を行うこと、爪を短く切っておくことも水いぼが広がらないために大切なことです。

硬いいぼについて

 皮膚の小さな傷から「いぼウイルス」が侵入するため、こどもでは傷ができやすい指、膝、足底などに認められます。水いぼのようにピンセットでは取り除けません。皮膚科で液体窒素による処置を行います。大きくなると処置の回数が多くなること、いぼの周囲や他部位に広がることもあり早めに処置を受けましょう。こどもでは足底にできる硬いものは「うおのめ」、「たこ」とよく間違えられますが、そのほとんどはこのいぼです。

Q&A

シャワー、水浴びは一日何回くらいするのがいいでしょうか。

 あせもの予防・治療としてシャワー、水浴びなどで汗を取り除くことは大切なことです。シャワー、水浴びは1日に1~2回ぐらいがよいでしょう。

硬いいぼの治療はどうするのですか。

少し痛みがありますが、数が少なく、小さいうちに液体窒素で処置を受けるのが一番です。

耳に湿疹ができやすいのですが

 こどもでは皮膚のバリア機能が十分発達していないため、横向きで寝ている時に布団で耳が擦れること、下側を向いている耳の部位に汗をかくことなどにより耳とその周囲に湿疹ができやすくなります。起床時(朝、昼寝)などに、少し水を含ませたタオルなどで耳とその周囲をやさしく拭いて汚れ、汗を取り除いてあげましょう。
軽度であれば、その後にローションなどの保湿剤を、湿疹があれば弱めのステロイド軟こうを短期間使用してください。

かぜをよくひきますが、布団などの調節はどのようにしたらいいですか

 かぜの原因の大部分はウイルス感染で、人と接触することによりうつります。薄い布団でもかぜはひきませんので、夏などでは薄いもので十分です。

赤ちゃんのうつぶせ寝はよくないですか

 寝返りができない時期では、あおむけ寝よりうつむせ寝のほうがSIDS(乳幼児突然死症候群)の発生頻度が多いとされています。
寝返りができないうちはあおむけで寝かせてあげてください。生後6か月頃からはSIDSの発生リスクは少なくなりますので、寝る姿勢はそれほど心配しなくてよいでしょう。
またSIDSの予防として、母乳で育てる、赤ちゃんの周囲での喫煙を避けることもSIDSの発生頻度を減少させることがわかっています。

平成19年6月22日子育て教室の講演より

「みやぐちこどもクリニック 院長 宮口英樹氏」

皮膚の機能

  • バリアー機能
  • 体温調節
  • 感覚機能
  • 免疫機能
  • 排泄作用、などさまざまな機能があります。

アトピー性皮膚炎の子ども

  • 皮脂が少ない人・・・皮膚が弱い(乾燥肌)
  • 皮脂が多い人・・・皮膚が強い(健康肌)

皮脂量は生後3か月頃から減り始め、幼稚園くらいまでが一番少ない時期です。
鼻、オムツをしている部分は肌荒れが少ない。それは、鼻の皮膚では皮脂が多く出ているため、またオムツの部位はいつも湿り気があるから。したがって、スキンケアのポイントは、皮膚を清潔にした上で皮脂と同じような油(保湿剤)を与えるか、湿り気を与えることです。

スキンケアとは

皮膚をやさしくいたわってあげること。そのために皮膚への悪い刺激を避け、いつもきれいで潤いを持った状態を保つことが大切です。

  1. 汚れを取る
    特に顔は汚れやすい部位です。しかし、顔の汚れを取っていない子どもさんが多くみられます。
    ケアのポイント:ぬれタオル等でパッティングしながら、1日に数回(特に寝起きの時)汚れを落としましょう。
  2. 保湿をする
    ケアのポイント:汚れを取った後、そのままにしておくと皮膚がカサカサになり湿疹を引き起こす原因になります。したがって皮膚をきれいにした後は、保湿クリームなどを上手に使って保湿しましょう。

入浴時の注意点

  1. 頭髪のケア
    頭皮は、他部位と異なり脂で湿疹が悪化しやすいため、皮膚の弱い子どもさんはセッケンより脂をより落としやすいシャンプーを使ったほうがよいでしょう。また、頭部脂漏性湿疹の子どもさん、フケが多い子どもさんも頭皮から出ている脂で悪化しやすいため、毎日洗髪しましょう。
  2. お風呂の温度
    湿疹のある子どもさんのお風呂は、ぬるめ(38~39℃)で短時間にしましょう。
    温めすぎるとかゆみの原因になるからです。
  3. 洗うときは・・
    セッケンを泡立ててから、手のひらか柔らかい布でやさしく洗うとよいでしょう。

薬について

かゆみ止め

かゆみは、湿疹があるために生じます。そのため湿疹を治せば、かゆみはおさまります。以前よく使用されていたかゆみ止めは、湿疹を治す働きが弱いため、最近はほとんど使用されなくなりました。

ステロイド軟膏・クリーム

湿疹の治療薬であるステロイド軟膏などは、短期間使用することにより湿疹が軽快し、かゆみもおさまってきます。ステロイド軟膏・クリームは、医師の指示どおり上手に使用すれば、副作用もほとんど気にせず使用できます。

汗について

 汗は体温を一定に保つ働きがあります。2歳くらいまでに汗をたくさんかくことで体温調節機能が完成します。そのため汗をしっかりかくことは大切です。時々外に出て、遊んで汗をかきましょう。ただし水分補給は十分してください。どうしても夜暑くて寝苦しい時は、少しクーラーを使用しましょう。ただし使い過ぎないように。
ケアのポイント:汗をかいたら、シャワーや風呂などで早く汗を流しましょう。肌着を着用することも大切です。皮膚の弱い子ほど肌に密着した綿のTシャツ型肌着を使用しましょう。また、汗をかいたら頻回に着替えることも大切です。

あせも(汗疹)

 肌着のあたってしまう部位では汗をかいたままでいると、あせもができやすくなります。濡れタオルを持参して、戸外ではパッティングして、時々汗を拭いてあげると良いでしょう。

衣類や寝具

洗濯について

市販の合成洗剤の使用では、洗剤の成分が肌着に残っていることがあり、汗で溶け出し皮膚に入って炎症を起こすことがあります。肌の弱い子どもさんで、合成洗剤が合わない場合は、赤ちゃん用の洗剤に変更しましょう。

肌着について

あせものできやすい子どもさんは、つなぎの衣類でなく、セパレート型(上下別々)のものが、熱や汗が放出されやすいため好ましい。肌着は、木綿で繊維の細かいものが良いです。

寝具について

睡眠中は、寝返りなどで子どもさんの顔は寝具でこすれたり、だ液で顔が汚れやすくなります。顔があたる部位は、タオル地より、より刺激の少ないシーツ地にして、毎日交換しましょう。

爪について

湿疹のある部位は、寝ている間によりかゆくなりますので、皮膚をひっかかないために、常に爪は短く切っておく習慣にしましょう。

参加されたお母さんからの質問をまとめました

Q 最近、蚊にさされてもなかなか治りません。

 子どもさんの虫刺されは、大人と比較して腫れやすく、またその腫れも長く続く特徴があります。刺されたら早めに、市販の虫刺され用の薬、医師から処方された薬(ステロイド軟膏など)を使用しましょう。また、とびひにならないよう爪は短く切っておきましょう。予防は、蚊などに刺されないようにすることが一番です。室内にいる蚊は、退治しておきましょう。また、外出時は、少し暑くなりますが、長袖、長ズボンとし、帰宅後は、早めにシャワーをするのもいいと思います。

Q ベビーパウダーの使用について

 最近はあまり使用されなくなりました。昔は、シャワー、入浴が簡単にできない時代だったからです。今は、汗をかいたら、シャワーなどで流すのが一番です。

Q 夜、寝ている間に汗をよくかきますが、肌着は必要ですか?

 かいた汗をすばやく吸い取るために、肌着は必要です。つなぎの衣類は、熱がこもりやすく、あせもがよりできやすいため、夏は、上下に分かれた肌着、衣類にしましょう。皮膚の弱い人は、汗で湿疹が悪化しやすいため、汗をかいたら早めにタオルでやさしく拭き取り、新しい肌着に交換してあげてください。

Q 水遊びの時の注意点を教えてください。

皮膚の弱い子どもさんでは、プールで遊んだ後は、十分にシャワーで汚れを落とし、その後早めに保湿剤をぬりましょう。

Q 子どもの衣類の洗濯時に、柔軟剤を使いますがいいでしょうか?

 皮膚の弱い子どもさんでは、汗により、肌着から柔軟剤の成分が溶け出して、かえって湿疹が悪化することがあります。湿疹がある子どもさんは、使用を控えたほうがいいでしょう。

Q 保湿剤について、市販のローション、ワセリンやクリームなど、どれを使うとよいですか?

 夏はさっぱりとしたローション、クリーム製剤が使いやすいでしょう。ワセリンは、少しべとつき感がありますが、好みであれば使用しても良いでしょう。逆に、冬の皮膚は乾燥しやすいため、しっとりとした軟膏製剤、ワセリンなどが合います。
市販品でも色々な種類のもがあります。個人差がありますので、その子に合ったものを選んで使用しましょう。

Q 外に出る時、日焼け止めは使用してもいいですか?使用した後に、拭き取ったほうがよいですか?

 紫外線から皮膚を守るために、日焼け止めは必要です。子どもさんに合ったものを使用しましょう。また、外出時は、帽子、長袖、長ズボンの服装で、紫外線から皮膚を守ることもできますが、帰宅後は、早めにシャワーなどで汗を流しておきましょう。日焼け止め使用後は、気になれば軽くやさしく拭き取る程度でいいと思います。

Q アトピーっぽいと言われたことがありますが、皮膚科か小児科かどちらにかかった方がいいですか?

皮膚科、小児科のどちらを受診してもよいでしょう。

Q あごの下の湿疹が治りにくいのですが、どうしたら良いですか?

 ほほ、あごは、皮膚表面の脂分が特に少なく、まただ液などで汚れやすいため、湿疹が治りにくい部位です。ぬれタオルなどでパッティングし、汚れを取り除いた後にステロイド軟膏を1日2~3回使用すれば、多くは軽快します。軽快した後は、1日に数回顔をふくごとに、保湿剤を使用することが大切です。"よだれかけ"の使用はかえって付着しただ液により、湿疹部位を刺激しますので、外出時以外はやめましょう。よだれかけを使用しなければ、衣類がだ液で汚れてしまいますが、衣類を多く用意していただいて、こまめに替えてあげて下さい。

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